MSFC 『多文化共生チーム』第27回インタビュー

こんにちは!
MSFC『多文化共生チーム』です。
2020年4月10日に、第27回目の取材を行いました。

今回は、三重大学の近くでイタリアンレストランを経営しておられるルカさんです。

 

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名前: ルカ・デッラ・スポレティーナさん

出身国: イタリア

年齢:46歳

勤務先:イタリア料理CASA MIA(カーザ・ミーア)

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インタビュー(2020年4月10日)
 

Q.いつ日本に来られましたか。

A.

 2003年の2月に日本に来て、同じ年の4月にこのレストランをオープンしました。レストランを開くにあたってこの三重県を選んだのは、当時つきあっていた彼女、今の妻ですが、彼女の実家が三重県の津市にあったからです。実はその前の年に2週間くらい日本に来たことがあったのですが、その時にはもういずれ三重県に引っ越すことを決めていました。

 

Q.奥さんとはイタリアで出会ったのですか。

A.

 はい。私は日本に来る前はイタリアでレストランの仕事をしていたのですが、妻はその当時イタリアに料理の勉強に来ておりまして、そこで出会いました。結婚したのはこのレストランを開いた後、2004年でした。でも結婚した後も私はイタリア国籍を維持しています。

 

Q.日本に来た時から日本語が話せたのですか。

A.

 いいえ。当時私は日本語の勉強はしたことがありませんでしたし、来日以降も日本語の授業を受けたことはありません。レストランを開いた当初も、妻とはイタリア語で、スタッフとは英語で話していました。日本に来た2年後くらいからなんとなく日本語を話せるようにはなりましたが、やっぱり発音はイタリア訛りがあると思いますし、書いたり読んだりするのはまだ上手ではないです。

 

Q.日本語の授業を受けないで、どうやって日本語が話せるようになったのですか。

A.

 私はこういう仕事ですから日本語の勉強らしい勉強をする時間はありませんし、レストランの外で誰かと会話する機会もあまりありませんでしたから、専ら妻やスタッフとの交流を通して日本語を覚えました。今は妻との会話ではイタリア語と日本語を両方話します。無意識に口から出て来た言葉が日本語なら日本語で話しますし、イタリア語ならイタリア語で話します。

 

Q.お子さんは日本語もイタリア語も話しますか。

A.

 うちは14歳と5歳の子どもがいて、上の子は日本語もイタリア語も話しますが、下の子は日本語の方が上手ですね。下の子もイタリア語を聞くのはできるようですが、話すのはほとんど日本語です。上の子は、まだ家庭での日常会話がイタリア語中心だったので私たちが話すイタリア語を覚えたようです。下の子は、私も日本語が話せるようになり、家での会話も日本語が中心で保育園やお兄ちゃんとの会話もずっと日本語なので、そちらの方が優勢なんだと思います。

 

Q.イタリアに帰省することはありますか。

A.

 上の子が中学校に入る前は毎年一回くらい帰っていましたが、今はそこまで頻繁には帰れていません。イタリアにいる私の家族が日本に来ることもあまりありません。イタリアの家族が日本に来たのは、私たちの結婚式の時と、一人目の子どもが生まれた時の2回だけですね。でも、インターネットを通して話すことはありますよ。孫の力は大きいというか、私の父などはもともとコンピュータなどには疎い人だったのですが、孫が生まれたら頑張ってスカイプの使い方を覚えたみたいです(笑)。

 

Q.ルカさんが日本に引っ越すと決めた時、ご両親はどう言っておられましたか。

A.

 びっくりしていました。特に母は驚いたようです。やはりどこの世界でも、母親は息子に近くにいて欲しいのではないでしょうか。でも父は、私の人生は私のものだからと、私の決断を尊重してくれました。日本に住む私の生活を手助けしてあげることはできないが、応援すると言ってくれました。

 

Q.レストランを経営する上で大変なことはありましたか。

A.

 そうですね、大変なことというか、文化的な違いを感じることはありました。一般的に、ヨーロッパでは1日が長くて、仕事が終わってからの時間がとても長いのです。だからイタリアではレストランは午後8時か9時くらいに開店するのが普通で、スタッフは開店前に賄いを食べるのですが、そういうところは日本でのやり方と全然違いますね。その他、このレストランを経営していて忘れられないのは2004年に熊野の方で大きな地震があったことです。その時は午後7時くらいでレストランは満席だったのですが、地震で結構揺れて、お客さんにはみんな外に出てもらいました。建物が古かったので、もう一度大きな余震が来たらどうなるか分からないと思ったからです。その後この店を改修したのですが、その時に店内をもっとイタリアの雰囲気が感じられるようなデザインにしました。

 

Q.その他に、日本で生活する上で困ったことはありますか。

A.

 細かいことを言えば切りがないですが、困ったことはそんなにないと思います。私は日本語があまり上手ではありませんが、妻が日本人ですので、例えば子どもの学校の手続きとかは全て妻がやってくれています。(その分私よりも妻が大変だと思います。)他に困ったことと言えば、、、、、例えば日本はイタリアと違って電車などの時間がすごく正確ですよね。以前私が息子と愛知県に行った時に電車に乗ろうとしたら、もう少しで乗車できるという時にドアが閉まってしまって、もう開けてくれませんでした。日本ではそれが当然だと思いますが、イタリアではそのようなことは考えられません。だいたい電車は遅れて来ますから、5分くらい遅れて駅についても電車に乗れるのが普通です。

 

Q.将来日本に住みたいと思っている外国人留学生の皆さんにアドバイスをくださいますか。

A.

 うーん、、、もし日本に住みたいという気持ちが決まっているなら、アドバイスすることは何もないです。でも、もし何か言えるとしたら、どこかのタイミングで一回自分の中にある「文化」をリセットすることが必要だと思います。「自分の国ではこうするのが普通だ」とか考えていたら、外国で住むことはできないと思います。