MSFC『多文化共生チーム』第5回インタビュー

2018. 1.10

こんにちは!
MSFC『多文化共生チーム』です。

2017年12月 1日に、第5回目の取材を行いました。

 

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名 前: M.M.R.P (イニシャル)

性 別: 男性

出身国: スリランカ

現在の勤務先 電機メーカー(三重工場)

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インタビュー(2017年12月 1日)

Q. どういう経緯で日本に来られましたか。

A. 私は今42歳ですが、日本に来たのは21年前、1996年です。
日本に留学するかアメリカに留学するか迷っていたのですが、色々な人と相談したうえで、日本への留学を決
定しました。

 

Q. 日本語が随分お上手ですが、スリランカにいる時から日本語を勉強していたのですか

A. いいえ、日本に来てから日本語の勉強を始めました。
日本に来る前は、日本の大学での勉強は英語でもできるという情報を聞いていたので特に日本語の勉強は
していなかったのですが、実際に来日してみると、日本語ができなくては入学もできないと分かりました。
日本に来てから初めは日本語学校に通って、ひたすら日本語を勉強しました。
同じ年の12月に大学の留学生対象の入学試験があったのですが、試験は全て日本語ですし、それまでに日
本語が分かるようになる必要がありました。
その時期に日本語能力試験の1級を取ったのですが、本当に大変でした。
二度とあの時期に戻りたくないです(笑)。

 

Q. 大学に入学してからの生活はどうでしたか。

A. 1997年に某国立大学に入学して、その後大学院に進んでロボット制御の研究し、2003年に修了しました。
大学に入ってからは日本語が分かるというのは前提であって、周りの日本人学生と同じように授業についてい
かなくてはいけません。
私が授業について行くためには、日本人学生の何倍も勉強しなければならなかったと思います。
留学生は私以外にもいましたが、スリランカ人は私一人でした。
ただ、私は留学生どうしで固まらず、できるだけ日本人と交流するように心がけていました。
また、私は授業料を免除になったのですが、生活費を稼ぐためにアルバイトもしていました。
そこでも、日本語や日本の文化や社会人としての心得などを学ぶことができたと思います。

 

Q. どういう経緯で今のお仕事に就かれましたか

A. 私は大学院2年生の6月から7月くらいまで研究をしていて、その後就職活動を始めたのですが、日本の多く
の会社ではその頃にはすでに募集を締め切っていました。
当時の私は就職活動を始めるべき時期がよく分かっていなかったと思います。
ただ運よく今の会社の募集に間に合って、内定をいただくことができました。
就職した当時、私が配属されたこの三重工場には外国人は私一人でしたが、今は中国人の方もいます。
また、私の母語はシンハラ語ですが、英語も話せますので、仕事中は、日本語はもちろんですが、海外とのや
り取りの中で英語を使うこともよくあります。

  

Q. 今はどのような在留資格で日本に滞在していますか

A. 大学院を卒業した後、留学生ビザから技術系の就労ビザに切り替えて仕事をしていました。
その後、5年くらい前に日本の永住権を取得し、日本人同様の生活を送っています。
永住権を取るには、外務省の審査をクリアしなければならないのですが、私の場合は永住権を申請してから
実際に取得するまで半年くらいかかりました。
日本人の配偶者をお持ちの方や日系人の方が永住権を取るケースが多いですが、私のような妻も日本人で
はない場合でも取得可能です。(申請条件や審査が厳しいですが・・・)

 

Q. ご家族のことを教えてください。

A. 妻は三重大学の生物資源学部で教員をしています。
私と妻は日本に来る前からお互いのことを知っていましたが、日本に来たのは私が先で、妻はスリランカの大学
院で修士号を取った後三重大学に来て博士号を取りました。
うちには中学生と小学生の子供がいますが、子供は二人とも日本語しか話しません。
妻と子供は時々スリランカに行きますが、私はなかなか長い休みが取れなくて、あんまり行くチャンスがありませ
んね。
将来日本に永住するのかと問われると、答えは分かりませんが、今は四日市に家も持っているし、仕事はある
し、子供は日本で生まれ育ったし、このままずっと日本に住む可能性もあります。
子供が大学に入る頃までには、日本の国籍を取るかどうか決めようと考えています。

  

Q. 日本に住んでいて困ったこと、または差別などを感じたことはありますか

A. 困ったことは、色々ありますが、まず言葉の面で言うと、日本に住んでいるととにかく日本語が話せなくては何も
できません。
例えば大学で専門的な勉強をしたいと思っても、言葉がわからなくては勉強もできません。
ですから、まずは言葉を覚えなければ何も始まらないという苦労がありました。
特に漢字は、数が多くて覚えても覚えてもきりがないので参りました。
また、差別や偏見を感じたことももちろんあります。
どこの国でも外国人に対してはそういうことはあるのではないでしょうか。
私の場合は、例えば不法居住者じゃないかと思われたり、日本語が話せないんじゃないかと思われたりするこ
ともあります。
でも、しばらく話してみると、認めてもらえます。
こういった壁は、自分で打破していかないといけないと思います。

  

Q. 日本で就職したいと思っている留学生にアドバイスはありますか

A.

うーん、、、日本に馴染むことです。
外国人ネットワークの中で生きるのではなく、日本の中で生きることに馴染むことです。
「郷に入りては郷に従え」と言うことわざがありますが、日本で生きるのならば自分のプライドを捨てて、日本の
やり方を身につけることです。
例えばアルバイトなどをしても、先輩後輩の関係を学べたり、「ホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)」が大事
だと学べたりしますよね。
こういったことを、特に学生時代に学ぶことが重要です。
就職したら、また別のことを学ばなければならなくなります。
例えばビジネスパートナーに対する気遣いなどです。
こうした仕事上で必要なことを学ぶ前に、日本で生活する上での基本的なことを学生のうちに学んで、日本
で日本人の中で生きることに馴染んでおくことが重要です。
また、これは外国人に限ったことではありませんが、基本的な姿勢として、いつも目標を決めて、それを達成し
たら次の目標を決めて達成してというようにし続けなければならないと思います。
これは日本人も同じだと思います。