MSFC『多文化共生チーム』第8回インタビュー

2018. 4. 4

こんにちは!
MSFC『多文化共生チーム』です。

2018年 3月27日に、第8回目の取材を行いました。
この4月より、リコージャパン株式会社にお勤めの、李(イ)ソリさんです。

 

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名 前: 李(イ)ソリ

出身国: 韓国

内定先(2018年4月入社予定):リコージャパン株式会社(https://www.ricoh.co.jp

Eメール: crysty25322@gmail.com

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インタビュー(2018年3月27日)

Q.いつ日本に来ましたか。

A. 2013年の3月に日本に来ました。
2月に韓国の高校を卒業して、その次の月です。
でもはじめの一年間はワーキングホリデーで日本に滞在していました。
三重県鈴鹿市のコミュニティに受け入れてもらい、三重県のコミュニティと韓国の高校との交流活動をしたり、コミュニティで運営しているお弁当屋さんで一年間働いたりした後、2014年の4月に鈴鹿大学に入学しました。
実は三重大学の人文学部の入学試験も受けたのですが、落ちてしまいました(笑)。

Q.どうして日本に来ようと思ったのですか。

A. 私はもともと子供の頃からずっとバイオリンをやっていて、本当はバイオリンを専門的に勉強したいと思っていました。
でも、私の父は牧師をしていて特に給料が高いというわけではありませんから、経済的な事情で、音楽を専門的に勉強できる高校に進学できませんでした。
バイオリンは趣味としては続けましたが、高校は普通の高校に進学しました。
その高校が日本の高校と交換留学事業をしていて、私も埼玉の高校に1ヶ月留学しました。
初めてできた外国人の友達も日本人でした。
そうした経験を通じて、バイオリンを除けば自分ができることは何だろうと考えた時に、それは日本語だと思ったので、日本に行こうと考えました。

Q.すごく日本語がお上手ですが、日本に来る前から日本語を話せたのですか。

A. 韓国の高校で二年間日本語を勉強して日本語能力試験の3級も取っていましたし、埼玉の高校に1ヶ月留学した経験もあったのですが、それでも高校を卒業して日本に来たばかりの頃は日本語が話せませんでした。
一度、スーパーでお弁当を買おうとしたのですが、レジの人が私に何か聞いて来たのが理解できなくて(今思えば、「お箸おつけしますか」のようなことを聞かれたのだと思いますが)、恥ずかしくて、「やっぱりいいです」と言って何も買わずにお店を出たこともありました。

Q.いつ頃から日本語が話せるようになったのですか。

A.

ワーキングホリデーで一年間働いているときに、周りにいる人が全員日本人だったので、生きて行くために(笑)日本語を覚えるしかありませんでした。
でも、教科書を買って勉強したとかではなくて、周りの人と一緒にいるうちに日本語ができるようになっていったのだと思います。
いずれ日本の大学に入学するつもりでしたから、この時期の11月に留学試験(EJU)も受けました。(注:留学試験EJUは、日本の大学に入学を希望する外国人を対象にJASSOが実施している日本語、数学、理科などの試験です。)
自分が日本語が話せていると実感したのは、鈴鹿大学に入学して半年後くらいに、頭の中で韓国語から日本語に訳すことなく日本語を話せている自分に気づいたときです。
日本人の友達から話しかけられたことをそのまま日本語で理解して、何も考えないですぐに日本語で返事をしている自分に気づいて、嬉しかったです。
今は映画やテレビの日本語も分かりますし、就職活動中の面接も大丈夫でした。

  

Q.大学での生活はどうでしたか。

A. 鈴鹿大学は留学生がとても多かったです。
多分全体の半分近くは留学生だったと思います。
特にネパール人と南米系の学生が多かったですね。
留学生は日本人と一緒に受ける普通の授業以外に、日本語の授業を取らなければいけませんから、私も1年生の時は日本語の授業を受けていました。
私は1年生の時、7月に日本語能力試験(JLPT)の1級を取って、2年生の秋に実用日本語検定(J.TEST)で準A級を取得しました。(注:実用日本語検定J.TESTは、実務的な仕事をこなすための日本語能力を測る日本語能力試験です。)
でも、J.TESTを受けた時は何も準備していなくて、「あ、そういえば明日J.TESTの試験だ、、、」と前日に思い出したくらいなので、もっと勉強していたらいい点数が取れたかなと思います。

 

Q.アルバイトもしましたか。

A. はい。アルバイトはたくさんしました。
私は三重国際交流財団(MIEF)の奨学金をもらっていましたが、実家からの仕送りはなかったので、特に時給の高いアルバイトを選んで、できる限り働いていました。
留学生は週に28時間以内しか働いてはいけないのですが、正直もっと働きたかったです。
大学在籍中ずっとやっていたアルバイトは牛丼の松屋でした。
他にも、コンビニでのアルバイトもしましたし、住友電装の海外に出張する予定の社員の方に韓国語を教えたりもしました。
アルバイトを通じて日本人の友達もたくさんできましたし、大学1年生の頃は、仕事で知り合った日本人の人に大学の宿題の日本語をチェックしてもらったりもしていました。
あと、居酒屋でのアルバイトもしましたが、私はお酒もタバコも苦手なので、時給は高かったですけどあまり長く働けませんでした。

 

Q.来月からリコージャパン株式会社に就職が決まっているそうですが、どのように就職活動をしましたか。

A. 基本的には、マイナビ、リクナビに登録して、「韓国」「留学生」といったキーワードを入力したりして就職活動を進めましたが、リコージャパンは大学のキャリア支援課の方に紹介していただきました。
でも、就職活動を始める以前に、鈴鹿大学には「キャリアデザイン」という授業がありますからそれを受講しました。
そのクラスでは、ビジネスマナーを勉強したり、SPI対策の勉強をしたり、また企業の方がクラスに来て会社の紹介をしてくれたりします。
そのクラスを大学3年生の4月から2月までの一年間受講して、3月から会社説明会に出席し始めました。
大体30社以上の説明会に出席して、その内一次選考を通過したのが10社くらい、面接までこぎつけたのが3社、その内2社から内定をもらいました。
本当は面接で落ちた会社が第一志望だったのですが(笑)。
あと、マイナビ、リクナビ以外にも、「三重就職NAVI(https://www.mie-snavi.net)」というサイトがあります。
私は三重県で就職したかったので、このサイトにも登録して就職情報をチェックしていました。
LINEで登録すれば、三重にある会社のセミナーや説明会の情報を送ってくれるので、便利だと思います。

 

Q.来月から仕事が始まる訳ですが、準備はできていますか。

A. とりあえず、4月から東京で2ヶ月くらい研修があって、その後四日市にある三重支社に配属になります。
三重県で働きたかったのでそれはいいのですが、でもすごく不安ですね。
この前入社式に出席したのですが、多分新卒採用者の中で外国人は私一人だったと思います。
私は日本語を話せるといっても仕事で使う日本語には慣れていませんし、留学生が周りにたくさんいたこれまでの環境と違って日本人の社員の方々と同じ立場で働くことになると思うと、やっぱり心配です。

 

Q.今後はずっと日本に住む予定ですか。

A. 今の所はずっと日本に住み続けるつもりです。
韓国にいる家族も、もともとは私が日本に留学することにも反対していたのですが、今は私の日本での生活を応援してくれています。
特に、今、韓国では失業率がすごく高くて、私の友達の中にも大学を卒業しても仕事が見つからない人がたくさんいます。
私は、日本で就職できて、今日(3/27)、技術・人文知識・国際業務ビザ(Engineer / Specialist in Humanities / International Service Visa)の許可もおりましたし、少なくともこのビザの期限が有効な5年間はリコージャパンで働きたいと思います。
もし、仕事が本当に辛くて辛くて仕方がなかったとしても、最低3年間はなんとしてもこの会社で働こうと思っています。

 

Q.日本で就職したいと思っている三重大学の留学生にアドバイスはありますか。

A. 外国人が就職活動をしていると、外国人ならではの制限にぶつかると思います。
例えば、自分が大学で専門的に勉強してきたことと関係がある仕事しか、ビザが許可されないかもしれません。
それに、外国人は雇ってもらえない会社もたくさんあると思います。
でも、どんなにたくさんの会社に落ちても、縁がなかったと思って、あまり落ち込まない方がいいと思います。特に今日本は就職しやすい時代だと言われていますから、自分を必要としてくれている会社は絶対あると思って頑張ってください。
それから、日本語は絶対にしっかり勉強した方がいいと思います。
「日本に住みたい」、「日本で就職したい」という気持ちだけでは、結局会社側としても採用できないと思います。
具体的には、日本語能力試験を受けた上で、日本語実用検定J.TESTも受けておいた方がいいと思います。