MSFC『多文化共生チーム』 第17回インタビュー

2019.5.10

こんにちは!
MSFC『多文化共生チーム』です。

2019年5月8日に、第17回目の取材を行いました。
今回は、関西にある大学の講師をしていらっしゃる、宋 天鴻(ソウ テンコウ)さんです。
  

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名前:宋 天鴻(ソウ テンコウ)

出身国:中国

年齢:29歳

職業:関西にある大学の講師

 

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インタビュー(2019年5月8日)
 

Q.来日のきっかけについて教えてください。

A.

2009年10月に日本語日本文化研修生として三重大学に来ました。当時清華大学の3年生でしたが、日本語の研究をしたいと思っていたので、論文指導をしていただける三重大学を選びました。三重大学での1年間を終えて中国に帰ってから大学院の準備を始めました。そして東京大学大学院進学のために2012年に再び来日しました。東京大学では、修士2年と博士5年で合計7年いました。三重の1年とあわせると、もう8年も日本にいることになります。この春からは、大学で中国語の教員として引き続き日本で生活していますので、今後もしばらくは日本生活が続きそうです。

 

Q.学生時代は、どんな風に過ごしましたか。

A.

三重にいる頃は国費留学生なのでアルバイトはしていませんでした。よく学び、良く遊びました。三重近隣の大阪、京都、奈良、名古屋など休みの時にはあちこちに旅行しましたね。でもいつも論文(日本語日本文化研修生研修レポート)のことも考えていました。東京に住み始めてからは、学位を取るための留学でしたので、研究が主な生活でした。大学から片道70分のところに住んでいたので、電車に乗るだけで疲れてしまって、授業のない日は基本的に外出しませんでした。趣味はコーヒーですね。いろいろなコーヒー豆を買ってきて、家で淹れたてのコーヒーを楽しんでいました。

 

Q.日本語はどうやって勉強したんですか。

A.

中国の大学で、日本語を専攻としていたのでそこで学びました。三重大学留学中にも日本語の授業は受けましたが、基本的なことは全部中国で勉強しました。日本に来てからは会話能力などを主に身に着けたと思います。中国では、一般的に朗読をよくします。教科書を何度も声に出して読むというやり方です。私もこの方法で学びました。また中国の大学にも日本人の先生がいたので、日本人の先生の授業も受けていました。

 

Q.就職活動はどうでしたか。

A.

そうですね、博士論文を書きながらの就職活動は、精神的に楽ではありませんでした。人生は思い通りに行かないことがたくさんあるので、メンタルを鍛えることこそ大事な課題です。

 

Q.今はどんなお仕事をしているんですか。

A.

中国語の教師として、大学生に中国語を教えています。中国語の基礎文法や会話といった授業を担当しています。中国語教師の仕事は大学院時代にもやっていました。その時の学生はほとんどお年を召された方で、日本語と中国語の違いを意識しながら教えていました。大学一年生に対しても同じやり方で授業を進めていましたが、学生から「英語はこうなりますが、中国語はこうしなくていいですか」などとよく聞かれます。学生は意外と母語の日本語ではなく、第二言語の英語の視点から中国語を見ているのだと気付きました。これからも英語との対照の視点も入れて授業を進めていきたいと思います。

 

Q.仕事や生活の中で困ったことはありませんか。

A.

自分は日本の生活スタイルに合っていると思いますので、日本で生活するのは楽です。言葉で困ることはほとんどありませんし、日本の習慣や考え方などにも慣れたので、日本にいて戸惑うことは今ほとんどありませんね。仕事に関しては大体順調に進んでいます。ただ、学生のほとんどが関西の出身なので、「あお(頭高の発音)の紙を見てください」と言ったら、「あお(平板の発音)ですか」と質問されたりするなどアクセントの違いで生じる誤解もたまにあります。関西で働いている以上、関西弁も勉強せなあかんと思いました。(笑)

 

Q.どのくらいの頻度で帰国していますか。

A.

1年に2回ぐらい帰国しています。一人っ子なので、夏休みや冬休みに国に帰って顔を出すぐらいの親孝行はしたいですね。

 

Q.これからもずっと日本で暮らしますか。

A.

そうですね。せっかく仕事も決まりましたし(笑)。数年前から外国人に対してポイント制のビザ申請のシステムも導入されていて、ビザが取得しやくなっています。今は高度学術研究活動「高度専門職1号(イ)」という在留資格を持っていますが、一年後には永住権も申請できるようになりますよ。今のところ、日本での生活が自分には合っているように思いますので、国に帰ることは今は考えていません。ご存知のように、中国では今は一人っ子政策が完全に廃止されましたが、私は一人っ子の世代なので、親の介護もいつか必要になってくるし、最終的には中国に帰るつもりです。

 

Q.日本で就職したいと思っている留学生にアドバイスはありますか。

A.

私の場合は、アカデミックな就職なので一般的な就職とは違うと思います。一般的な就職活動はしたことがないのでよく分かりませんが、自分の経験では、面接の時にありのままの自分を出すことが大切だと思います。企業側としては仕事ができる人を採りたいというよりは、会社の雰囲気に合った人、一緒に仕事ができる人を採りたいと考えていると思うからです。