MSFC 『多文化共生チーム』第31回インタビュー

こんにちは!
MSFC『多文化共生チーム』です。
2020年6月18日に、第31回目の取材を行いました。
今回は、浅井農園にお勤めのエミルさんです。

 

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1

 

名前: モールップ・エミル・ペーテルさん

出身国: スウェーデン

性別:男性

年齢:27

勤務先:浅井農園(https://www.asainursery.com)

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インタビュー(2020年6月18日)
 

Q.いつ日本に来ましたか。

A.

 私が初めて日本に来たのは2016年ごろだったと思います。その時私はスウェーデンのルンド大学の1年生だったのですが、1ヶ月の短期留学プログラムで、岐阜大学に来ました。その後スウェーデンに帰ったのですが、3年生の時に、今度は1年間、岐阜大学に留学して、その年にスウェーデンの大学を卒業しました(筆者注:エミルさんの大学のプログラムは3年間で終了するプログラムです。)

 

Q.どのように今の仕事を見つけましたか。

A.

 岐阜大学での留学を終えた後、私は半年くらいスウェーデンに帰っていましたが、日本での生活がとても気に入っていたので日本で就職したいと思っていました。そこで、私はスウェーデンにいる間に色々準備して、就職活動をするためにまた日本に来ました。その時は観光ビザで日本に入って、東京であったジョブフェアに参加し、そこで今の会社から内定をいただきました。そして一度スウェーデンに帰って就労ビザを取り、また日本に来て秋から働き始めました。私が内定をいただいたジョブフェアは特に農業関係の企業のジョブフェアで、今の会社ももちろん農業関係の会社です。私の学生時代の専攻は日本語でしたので、農業に関しては働き始めてから色々学びました。

 

Q.就職活動は難しかったですか。

A.

 そうですね。私の場合は観光ビザの期限である3ヶ月の日本滞在期間中に仕事を見つける必要がありましたし、履歴書はもちろん日本語で書かなくてはいけなかったです。その3ヶ月の就職活動中は毎晩履歴書を書いていたような気がします。でも、日本人の友達が私の日本語を直してくれたり、色々助けてくれました。

 

Q.日本で仕事をしていて、難しいと感じるところはありますか。

A.

 言葉の苦労はもちろんですが、それ以外にも色々なことがスウェーデンと大きく違います。特に働く時間が長いということが、一番の違いでしょうか。もしかしたら私の会社が農業関係なので特にそうなのかもしれませんが、勤務時間が長いので、自由な時間はあまりありません。他には、会社の中では上下関係がありますが、私は比較的対等な人間関係に慣れていますから、そこも日本とスウェーデンの違いかもしれません。とりあえず、今は私は一番下の地位ですね(笑)。

 

Q.日本で働くと決めた時に、スウェーデンのご家族はどのように言っていましたか。

A.

 複雑な感情だったのではないかと思います。もちろん、家族は私の決断を尊重してくれて、私が日本での仕事に挑戦することを応援してくれました。でも、やはり家族ですから、近くにいて欲しいという気持ちもあるようで、今も、「次はいつ帰ってくるの?」とよく聞いてきます。私は2年前に今の会社で働き始めてから一度だけ帰国しましたが、今年はコロナウィルスの影響がありますので、帰国する予定はまだ分かりません。

 

Q.日本語能力試験(Japanese Language Proficiency Test)を受けたことがありますか。また、日本語能力試験は日本での就職に重要だと思いますか。

A.

 はい、N1(1級)を持っています。岐阜大学での1年間の留学を終えた後スウェーデンに帰っている時に合格しました。その時はスウェーデンの大学も卒業して、自由な時間がたくさんありましたから、その間に勉強して日本語能力試験を受けました。多分、岐阜大学で日本語の授業を受けて、たくさん教わったおかげで合格できたのだと思います。日本語能力試験でN1、または最低でもN2に合格することは、日本で就職するためには重要だと思います。私が日本で就職活動をしている時に、色々な会社の申し込み書類やwebには、日本語能力試験の何級を持っているかという質問がありました。でも、日本語能力試験に合格していなくても、もし実際に会社を訪問することができて、日本語が上手だということを面と向かって証明できれば、就職するチャンスはあると思います。

 

Q.今は仕事中はいつも日本語を使っていますか。

A.

 ほとんど日本語ですが、私の会社は海外の会社とも色々ビジネスをしています。特にオランダの会社とは関係が深くて、その会社とは毎週コンタクトをとっていますから、その時は英語を使います。また、私の会社には私以外にも外国人の社員(中国人とベルギー人)がいますし、会社の書類を作るときなどに日本語と英語の両方を使うこともあります。私以外の外国人社員は2人とも私より日本語が上手ですけどね(笑)。

 

Q.いずれはスウェーデンに帰ってそこに住みたいと思いますか。

A.

 実を言うと、すでに今現在、スウェーデンに帰ることを考えています。でも「日本はもういいや」と思っている訳でもありません。もしスウェーデンに帰ったとしても、日本に旅行に来ることはもちろんあると思いますし、また日本で仕事を探すこともあるかもしれません。もしかしたら日本で結婚してずっと日本に住む可能性もあります。

 

Q.将来日本で住みたいと思っている外国人留学生や、日本で仕事をしたいと思っている外国人留学生の皆さんにアドバイスはありますか。

A.

 就職先を決める前に、自分の価値観についてよく考えることが大事だと思います。例えば長時間働くことは苦ではないか、自分の自由な時間が欲しいかなどをよく考えなければならないと思います。私にとっては、自分の自由な時間を持つことは大事なことです。でも、正直今の仕事をしていると、自分の自由な時間はあまりありません。就職活動をする前に、就職したいと思う会社と自分の価値観がずれていないかどうか、その会社について調べることが必要だと思います。その他のアドバイスとしては、とにかくできるだけたくさんの会社に挑戦することでしょうか。就職活動は難しいですし、とてもストレスが多いと思いますが、とにかく頑張ってください。もし採用されなかったら、それは自分に合っている仕事ではなかったということですから、就職活動をしているうちに、自分に合っている会社を絞ることができると思います。