MSFC 『多文化共生チーム』第29回インタビュー

こんにちは!
MSFC『多文化共生チーム』です。
2020年6月3日に、第29回目の取材を行いました。
今回は、三重県にある男子サッカーチーム(JFLリーグ)の監督をしているミラさんです。

 

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名前: ミラグロス・マルティネス・ドミンゲスさん

出身国: スペイン

性別:女性

年齢:35歳

勤務先:鈴鹿ポイントゲッターズ(監督)(https://suzuka-un.co.jp)

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インタビュー(2020年6月3日)(通訳;小澤哲也コーチ)
 

Q.いつ日本に来られましたか。

A.

 日本に来たのは大体4か月前くらい、去年の1月に来日しました。それまで、私はスペインの女子サッカーの一部リーグのチームの監督をしていたのですが、そのチームがなくなってしまったのです。そんな時に、この鈴鹿ポイントゲッターズの監督のオファーをいただきました。私は海外に住むのは初めてですが、日本の生活や文化に興味もありましたので、すぐに、ここの監督になることを決めました。

 

Q.では日本に来るのも初めてだったのですか。

A.

 はい、日本に来るのも、アジアに来るのも初めてです。長い間スペインのサッカーリーグにいたので、なかなかアジアに来る機会はなかったのですが、でも、実はスペインにいる時に日本のサッカー選手と一緒に仕事をしたことがあって、彼女と一緒に住んでもいたので、日本のことは色々聞いたことがありました。

 

Q.日本でサッカーチームの監督をすることについて、心配ではありませんでしたか。

A.

 何もありませんでしたね(笑)。私はずっとサッカーの世界で生きていきたいと思っていて、そんな時にこの鈴鹿ポイントゲッターズからオファーをいただいて、しかも日本の男子サッカーチームで初めての女性監督になるチャンスだということも人生で唯一の機会かもしれないと思いましたので、迷うことなく、このオファーを受けました。

 

Q.日本に行くことになったとき、スペインに住んでいるご家族は何と言っていましたか。

A.

 私の母は、最初は心配だったようですし、悲しかったようです。私は4人兄弟の中で唯一の女の子ですから、それもあって、母は私に近くにいてほしかったのかもしれません。でも、私が日本に来てからインターネットで話しているうちに、私が日本でうまく生活できて幸せであることを母も感じてくれたようで、「スペインに帰ってきなさい」とは言わなくなりました(笑)。

 

Q.スペインのご家族とは、日本に来てからもよく話すのですか。

A.

 はい、毎日話しています。スペインと日本の時差は今だと7時間ですので、大体私が寝る前くらいの時間にはスペインではお昼ご飯の前くらいですから、そのくらいの時間に家族と話しています。

 

Q.鈴鹿での生活はどうですか。

A.

 今はアパートで独り暮らしをしているのですが、ここで生活していて困ったことなどは特にないです。唯一、日本に来てから困ったことと言えば、食事についてでしょうか。もちろん日本の食べ物はスペインと違いますし、また例えばスペイン人はフルーツをたくさん食べる人が多いのですが、日本人はそれほど食べないですね。でも、多分私は新しい環境になれるのが早いほうなので、そんなに生活の上で困ったことはありません。それに、鈴鹿ポイントゲッターズにはスペイン人の選手もいるのですが、一緒に食事をしたり海岸を散歩しながらスペイン語を話す機会もあります。私は日本語も少しだけ覚えましたが、本当に少しだけです。日本語を勉強するよりもサッカーの仕事に集中したいですし、それに通訳もいてくれますから(笑)。

 

Q.スペインにいた時は、都会に住んでいましたか、それとも田舎に住んでいましたか。

A.

 私がスペインで仕事をして生活拠点にしていた町は大体鈴鹿と同じくらいの大きさでしたが、私が生まれた町は、すごく小さい、、、大体人口200人くらいの村でした。日本に来てからは色々な町に旅行しました。例えば東京、大阪、京都、奈良、神戸、名古屋、、、、それにチームの試合で仙台、青森、宮崎、大分などいろいろなところに行きます。

 

Q.今の仕事は、何年の契約ですか。

A.

 1年ずつの契約ですから、今の契約は今年の12月までということになります。来年も鈴鹿ポイントゲッターズと契約できるかどうかは今年の成績によりますし、でもそれもコロナの影響でどうなるか分かりません。もし鈴鹿を去ることになったら、母国スペインかその近くで仕事を見つけるのもいいと思いますし、でも日本も好きですから、例えば日本のなでしこリーグ(女子サッカーリーグ)のチームの監督になって優勝を目指すということにも興味があります。母国のスペインに帰ることはもちろんうれしいことなんですが、日本ではファンとか記者からのプレッシャーがスペインに比べて少ないので自分の仕事に集中しやすいという環境が魅力的です。スペインではチームが勝てないとすぐに監督が首になったりしますが、日本ではもう少し忍耐強く結果を待ってもらえます。例えば今チームでやっている取り組みが終わるまでは、契約を切らないでいてくれたりもすると思います。

 

Q.将来日本に住みたい、または日本で仕事を見つけたいと思っている外国人留学生の皆さんにアドバイスをくださいますか。

A.

 私の経験から言えることは、自分の母国とは違う国で、違う文化の中で生活して仕事するわけですから、自分が今まで経験してきたことと全く違うことを周りの人がしていたりするので、できるだけ早くそういうことに順応することが大切だと思います。また自分の経験からは外れる意見なども尊重できるように、柔軟に考えることも必要だと思います。

 

(筆者注:2020年の鈴鹿ポイントゲッターズのホーム開幕戦の試合は、8月23日に鈴鹿で行われます。場所は、AGF鈴鹿陸上競技場というところです(https://suzuka-un.co.jp/schedule/)。みんなで応援しましょう!)